「いのちの大切さを伝える」助産師出前講座事業

 

本会は「いのちの大切さ」を伝えに、学校やいろいろなところに出向いています。きっかけは、平成9年に起きた神戸の児童連続殺傷事件でした。いのちの現場にいる助産師として、お役に立てることが何かできるだろうかと、県に「いのちの大切さ」を伝える講座の公的事業化をお願いしました。幸い行政の理解をいただき、厚生省(当時)の補助事業として採択され、2ケ年かけてマンパワーの研修から始まり、体制整備しました。その後は県の単独事業として予算化され委託事業となり現在に至っています。その後太田市とみどり市からも委託事業となっています。主に県内の小中学校・高校・特別支援学校等に出向いていますが、年々そのニーズが高まり、毎年約100校の学校に出向いています。

 

第1回こころを育む総合フォーラム全国大賞受賞

 平成20年2月、実績と内容が評価され、「第1回こころを育む総合フォーラム全国大賞受賞」という大きな賞を頂きました。また、長年取り組んできた本講座を教育学の専門家に評価を受け、エビデンスに基づいた講座内容の意義と有効性が裏付けられる結果を得ることができました。そして「今の日本が必要としている授業である」との最終評価を頂きました。

「いのちの大切さを伝える助産師出前講座」を見学して

                                   青森県 助産師

当日は小学校5年生140名とその保護者対象の出前講座でしたが、この講座を見学してびっくりしました。なぜならあまりにも私たちの「いのちの大切さを伝える性教育」とは違っていたからです。正直、気軽な見学者として見始めたのですが、その視点は青森県のそれと大きく違って、一貫して子どもの基本的自尊感情を高める、というところに置かれていました。ともすれば教育学、心理学の範疇と判断されそうですが、その切り口、アプローチの仕方はまぎれもなく助産師にしかできない講座でした。青森県はあくまで性教育という流れの中でいのちの大切さを感じてもらおうという内容で、いわば体から心へのアプローチです。しかし群馬県のそれは「いのちの大切さを伝える」=自尊感情を高める=他者との共有体験、という心から心へのアプローチでした。例えば、教材「生まれーる」によるその導入からビデオ鑑賞に至るまでの流れ、これは圧巻でした。子どもたちの目を閉じさせて自分の年齢をイメージ上で逆行させ、母の子宮に入らせたところで「生まれーる」の登場です。おそらく来場された母親も自分の分娩の時を思い出し、「生まれーる」の出産場面で子をもう一度お腹の中に戻して生みなおしたような感覚になったに違いない。そして子は同級生が「生まれーる」から出産するのを見て、自分も母からもう一度生まれた感覚を経験したに違いない。頭の中での疑似体験とはいえこれはりっぱな親子の共有体験で、子にとっても母にとっても確かな記憶になり得るであろうと感じました。母の、子の無事だけを祈って生んだときの感動や喜びと、子の、自分は生きる力、能力を持って生まれ成長している、ということの自信は、自尊感情の向上や家族内コミュニケーションにも良い影響を与えるであろうということは容易にわかります。ねらいはどこにあるのか、何を目指しての講座なのかの違いの大きさに驚いた一日でした。               

 

子どもの感想文

 

おなかの中にいるときも ちゃんと生きようとする

がんばる力があり  体は小さいけれど
その中にある 大きな「力」で生まれてきたという話を聞いて
自分ってすごいな・・・と思った
本当に「生きてるだけで百点満点」だと思った
自分、お母さん、お父さん、そしてまわりの人の
「思い」や「力」が一つになった
たった一つの 大切ないのちを私は無駄にしたくないと思いました。                                                                              小学6年 女子

 

じゅぎょうさんかんのとき、じょさんしさんから「生きてるだけで百点まんてん」という言葉をプレゼントしてもらいました。あのとききいた赤ちゃんのしんぞうの音は、とてもはやくて「がんばるぞ!がんばるぞ!!」とぼくにもきこえました。生きていることは、すごいことなんだと思いました。                                                                              小学2年 男子

 

わたしは、「なぜいのちってあったかいのかな・・・」とおもいました。それはきっと、生まれてくるまでお母さん、お父さん、それからみんなの「あったかい心」につつまれて、生まれてくるからなんだとわたしは思いました。私はうまれてきて本当によかったとおもいました。                                                                              小学2年 女子

 

母さんと大げんかして、「おまえみたいな子はうんだおぼえがない! 出て行け!」といわれたので出ていきました。でも行くところもないし、今はあやまりたくない。「死んじゃおう」と思い、近くのガラスで手を切りました。今日の講座で「待ち望まれて生まれてきた」と知りました。お母さんごめんなさい!                                  

                                     小学5年 女子

 

出産模擬体験 教材「うまれ~る」(教材 「うまれ~る」のお問い合わせは 「は~とふるすぺ~すはぐくみ」まで)   TEL0276-37-5198   Eメール s.mide@jeans.ocn.ne.jp)